菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

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神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。

第1章制度の沿革 5遅すぎた構造改革

5.遅すぎた構造改革

初の給付水準の引き下げ(現役会員のみ)

 平成13年に、都道県議会議員共済会及び市議会議員共済会は平成24年度に、町村議会議員共済会は平成19年度に積立金が枯渇する見込みとなった(12)。確かに、市・町村議会議員共済会の財政悪化については市町村合併の影響も大きかった。しかし、合併がなかった都道県議会議員共済会も同様な見通しとなったことから、積立金の枯渇については地方議会議員年金制度の構造的な問題が根底にある。

そこで、政府は総務省内に「地方議会議員年金制度検討会」を設置し、地方議会議員年金制度の見直しを検討させた。平成14年2月に同検討会の報告書が提出され、これを受け長期的にわたり安定的に年金給付を確保するための立法作業に入り、平成14年4月第154回国会において改正案は主要政党全ての賛成により可決され、平成15年4月1日より改正法は施行された。この法改正によって初めて現役会員の給付水準の引き下げが行われたが、既裁定者(OB会員とその家族等)に対する給付削減は一切行われなかった。年金財政が相当逼迫しているにも関わらず、既裁定者の給付の引き下げを行わなかったことは、後年の国会審議において指摘を受けることになる(13)。

 平成14年4月25日参議院総務委員会において、片山虎之助総務大臣は法改正によって20年後の平成35年まで制度が持つことを明言しているが、数年も立たずに見込み違いが明らかになり、更なる法改正の必要性が生じている。

 平成14年の法改正の主な内容は、①平成15年4月より給付水準を2割引き下げること(制度改正前の議員歴を有する者は1割)、②掛金率及び負担金率を、都道県議会議員は12/100・10/100に、市議会議員は13/100・10.5/100に、町村議会議員は15/100・11/100に各々引き上げること、③年金額の算定基礎となる標準報酬年額の算出方法の変更、④高額所得者に対する退職年金の一部支給停止基準額を217.6万円以上とし、対象となる所得金額を、課税総所得金額700万円を超える場合とすること等である。

 ①の改正については、平成14年3月に退職年金の給付水準の低下を嫌った一部の議員による駆け込み辞職が行われ、世間の批判の的となった。

(12)地方議会議員年金制度検討会『地方議会議員年金制度検討会報告書』平成14年2月

(13)平成18年5月16日衆議院総務委員会において、富田委員は「平成14年のときと平成18年の現在と、この大法廷判決はもともとあったわけですから、この要件に当てはめて、既裁定のOB議員の皆さんたちに一割カットするというのは14年のときにもできたと思うんですが、それをなぜしなくて、18年になって、ここに至って一割給付を引き下げるというふうになったのか。」と指摘している。

更なる給付水準の引き下げ(既裁定者も含む)

 平成14年の法改正にも関わらず、特に市・町村議会議員共済会の収支状況は改善せず、当初の見込みの「20年後」ではなく、「5年後」の平成20年度に積立金が枯渇する見込みとなった。度重なる試算誤りは、当事者である現役地方議員からも批判を受けることとなり、平成17年に総務省内に設置した「地方議会議員年金制度検討会」が平成18年2月に提出した報告書に基づいて、初めて既裁定者の給付水準に踏み込んだ法改正を行うことになった。衆議院においては全会一致であった。

 平成18年6月6日参議院総務委員会において、小笠原倫明政府参考人は法改正によって以後20年間年金財政が維持されると明言した(14)。しかし、平成23年に市・町村議会議員共済会の積立金が再び枯渇する見込みとなった。再び政府の見込み違いが生じることとなり、当事者である地方議員からも政府の信用性を問う声が増えてきた。

 平成18年の法改正の主な内容は、①平成19年4月より給付水準を12.5%引き下げること、②掛金率と負担金率を、都道県議会議員は「13/100(負担金は据え置き)」に、市議会議員は「16/100」・「12/100」に、町村議会議員は「16/100」・「12/100」に各々引き上げること、また特別掛金も市町村議会議員率「7.5/100」に引き上げること、③市町村合併に伴う激変緩和措置(合併特例法16条3項)として市町村の負担金率に「4.5/100」を加算すること、④高額所得者に対する退職年金の一部支給停止基準額を190.4万円以上とし、対象となる所得金額を、課税総所得金額500万円を超える場合とすること、⑤在職加算年数を50年から30年にすること、⑥既裁定者の年金給付水準を10%引き下げること等である。

(14)「この法案お認めいただきますと、おおむね二十年後においても積立金を維持して安定的な給付が可能になるものとされているところでございます。」