菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

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神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。

第5章 制度の廃止 1.何故、制度を廃止するのか

第5章 制度の廃止

1.何故、制度を廃止するべきか

廃止以外の道はない

 地方議会議員年金制度自体に大きな瑕疵があることは制度の沿革で触れてきたとおりであるが、それ以外の制度廃止の理由は以下の通りである。各理由の具体的な内容については後述する。

 第一の理由は、年金財政の破綻である。度重なる公費負担率の引上げにも関わらず、平成23年度には市町村議会議員年金基金は破綻する予定である。共済会が適切な自助努力を行ってこなかったために、年金財政は会員の努力のみでは再生不能な状態にまで悪化している。

 第二の理由は、国民負担の増大である。既に国民負担は限度を超えているが、今後制度を維持するためには更なる国民負担が必要となる。しかし、これ以上の税金投入に対して国民の理解を得ることは非常に困難である。

 第三の理由は、目的の形骸化である。制度の目的は議員の老後保障であるにもかかわらず、半数近い議員は年金の受給資格を得ることができないまま議員を引退する。一部の受給資格を得た者だけに年金財源が集中する制度が、果たして議員の老後保障に資するかは改めて問わねばならない。

 第四の理由は、地方分権の進展である。同制度は全国の地方議会が画一的に運営されていることを前提としている。しかし、政府は地方分権或いは地域主権(本書は敢えて両概念を明確に区別しない)の推進姿勢を明確にしており、今後この前提条件が大きく崩れることは確実である。多様な自治体運営を目指しながら、画一的な制度を維持することは大きな矛盾であり、極めて困難である

 第五の理由は、住民自治の不在である。どのような制度であっても、地方自治に関わる制度は住民の合意の下に創設される必要がある。しかし、制度設立時も公費負担導入時も、国民的な議論はほとんどなされず同制度は導入・維持されてきた。今後制度を維持するにしても国民的議論と合意は不可欠である。

 以上の理由を勘案すると、制度を維持するという選択は大変困難であり、制度廃止の方向性を定めた上で、細部の議論を進めていくことが賢明であると考えられる。

既得権者の思い

 年金制度の維持を主張するのは基本的に既得権者である。既得権者は大きく区分けて2つに分類できる。第一は、既裁定者(年金受給者及び有資格者)である。第二は、現在掛金を納めている現職議員である。

 既裁定者が望むことは、現在の年金給付が今後も維持されることである。従って、制度が廃止されようとも、国会議員年金制度の廃止がそうであったように、現在の給付が継続されるのであれば、大きな問題は生じない。

 次に現職議員が望むことは、今まで支払った掛金が一時金として返還されることである実際、一時金がしっかりと措置されるのであれば、廃止もやむを得ないという意見が各議会又は議員からなされている。近年は、市町村議会議員の掛金負担率も大幅に上がり、このような考え方を持つ議員は増加傾向にある。

 以上からも、純粋に制度論として制度維持を望む者は多くないのが現状である。地方議会議員年金制度に関わる既得権者にとって、制度の維持は目的ではなく、単なる手段でしかない。自分達の望む条件を確保できるのであれば、制度の存廃は問題とする者はほとんどいないだろう。地方議会議員年金制度の問題は既に条件闘争の段階に論点は移行している。