菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。

THE PRIME GATEWAY TO ASIA〜タイ・東部経済回廊(EEC)

 

 

 

タイ政府は現在「東部経済回廊(EEC=Eastern Economic Coridor)」の開発を進めている。首都のバンコクの南東の地域に広がるEECは南関東の1と3県(東京、千葉、埼玉、神奈川)の総面積に匹敵する広さ(13,285㎢)があり、タイ政府が指定した10の重点産業に投資した企業は、5年間法人が半額になるなどの優遇策を受けることができます。重点産業とは、次世代自動車、ロボット、航空、AIなどです。EECはチャチェンサオ県、チョンブリー県、ラヨーン県の3県にまたがっており、この地域にはリゾート地のパタヤがあります。

 

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図:EECの全体イメージ(アメリカタイ王国大使館ページより)

このEECは、EEC法や2015年にタイ政府が策定した経済政策指針である「タイランド4.0」等に基づくものです。EECにあるレムチャバン港までは、バンコクから約120㎞ですが、現在急ピッチで高速道路や高速鉄道を整備しています。

 

おおよそ5兆円規模の投資を行うこのプロジェクトは、単なる工業地域の開発といった類のものではなく、人々のライフスタイルや地域のあり方も変える非常に大規模なプロジェクトです。

 

THE PRIME GATEWAY TO ASIA

 

これがEECの掲げるビジョンです。

 

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図:EECを中心としたイメージ(アメリカタイ王国大使館ページより)

 

EECの掲げる細かいイメージは、タイ政府が公表しているこの動画を見るとよく理解できます。

 

 


Thailand’s Eastern Economic Corridor (Japanese version)

 

 

このようなプロジェクトを推進する背景には、「中所得国の罠」への恐れがあります。「中所得国の罠」とは、自国の経済が中所得国のレベルで停滞し、高所得国入りをできないことを表します。経済成長が進む中で、成長の原動力となった低い賃金が上昇し、後ろからより所得の低い国が追いかけてくるようになるためです。

 

 

 

 

 

1.ウタパオ国際空港(U-TAPAO RAYONG PATTAYA International airport)

 

まず、EECの最南端にあるウタパオ国際空港を訪問し、職員より同空港及び、EECに関する説明を伺いました。

 

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ウタパオ国際空港は、元々ベトナム戦争中のアメリカ軍の主要な作戦基地でした。現在でも、タイ海軍航空隊、アメリカ軍の基地として利用されています。民間航空会社による定期便は、現在中国も含むアジア各地からの就航が増えており、国際チャーター便、貨物便の離着陸もあります。

 

EECプロジェクトの中で、同空港は、スワンナプーム国際空港、ドンムアン空港二次ぐ第3の空港と位置付けられており、数年前まで、20万人程度だった乗降客数も現在では100万人を超えました。さらに拡幅を行い、短期的には300万人の乗降客数に、さらなる拡幅を行うと最大で1500万人の乗降客数に対応できるようになります(成田空港は約4000万人、羽田空港は約8000万人程度)。

 

同空港から、1時間程度で有名な観光地パタヤがあるため、現在はそこに訪問する観光客が主であるとのことでしたが、今後はEECプロジェクトと連動しながらの規模拡大を目指して行きます。

 

日本からの直行便は就航していませんが、EECプロジェクトの関わり次第では増える可能性もあり、現在当局者も日本の航空関係者との接触を図っているとのことでした。

 

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まだ、拡幅中で使用されていない施設内などを見学しました。

 

 

2.レムチャバン工業団地

 

レムチャバン港に隣接する工業団地を訪問し、同団地所長から概要の説明を受けました。

 

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レムチャバン港は、コンテナ化に対応するために1991年に開港した国際貿易港であり、1990年代後半にバンコク港の貨物取扱量を抜き同国一番になりました。同港で扱うコンテナ数は東京港の1.6倍になるとのことでした。

 

工業団地には、前述した10の重点産業の誘致を進め、数十万人単位での雇用の創出を目指しています。また、同工業団地に隣接するスペースにコワーキングビルディングや規制緩和のワンストップ窓口も併置することが決まっており、参入企業への一体的な支援環境を構築する予定です。

 

ウタパオ国際空港が空の玄関口ならば、レムチャバン港は海の玄関口と言えるでしょう。これらを高速鉄道や高速道路の陸路でつなぎ、一体的な取り組みを進めていました。

 

3.タイ地理情報・宇宙技術開発機関(Geo-Informatics and Space Technology Development Agency,GISTDA)

 

最後は、タイ地理情報・宇宙技術開発機関(GISTDA)のTHEOS管制通信所を訪れ、担当者より説明を受け、博物館内や別棟を視察しました。

 

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GISTDAは、タイ王国科学技術省監督下の宇宙機関です。リモートセンシング、GIS、衛星技術開発なども行なっており、地球観測衛星THEOSを所有し、地理情報を収集、利用を行っています。併設されている博物館は日本の援助も受け設立されたとのことでした。その為、博物館内には日本ブースが設けられていました。衛星を用いた日本の自動耕運機のプレゼンテーションなどを見ることができました。また、日本の宇宙飛行士の紹介コーナーもありました。

 

また、別棟では実際に打ち上げられたタイの人口衛星の管制室に案内され、衛星を操作する機器に体験するなどしました。

 

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 写真:衛星の操作ができるタッチパネル

 

敷地内には様々な研究機関が立ち上がっており、中国の武漢大学との国際的な宇宙技術人材開発のために使用されるシリトーン地理情報国際会館を建設することで同意しており、既に建物が存在しました。また、スウェーデンの企業との連携も行われつつあるとのことでした。

 

GISTDAは、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)にあたる機関であり、2009年より人材育成面でJAXAとの協力関係にあります。また、日本が主導するアジア太平洋地域宇宙機関会議 (Asia-Pacific Regional Space Agency Forum:APRSAF)に参加している一方で、中国が主導するアジア太平洋宇宙協力機構(APSCO)にも加盟しています。

 

神奈川県相模原市にはJAXAの宇宙開発研究所のメインキャンパスがありますが、THEOS管制通信所との同研究所の位置付けは近しいものがあります。JAXAのバンコク駐在員事務所では、タイ衛星受信局の技術支援、東南アジアの宇宙関連機関との連絡調整が行われており、その意味でもGISTDAの存在は日本との関係で重要です。

 

神奈川県としては、相模原のJAXAとTHEOS管制通信所の交流・連携を官民両レベルで進めると、日泰の友好関係や経済にも良い影響を与えるのではないかと考えました。

 

 

以上、EECにおける各機関を訪問した報告でしたが、「THE PRIME GATEWAY TO ASIA

」という大きなヴィジョンを掲げ、国家規模でプロジェクトを進める点は、日本や神奈川の産業政策のあり方との比較で非常に示唆に富んだものでした。

 

今回の調査の調整にあたりご協力を頂いた在東京タイ王国大使館や関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。

 

千里の道も一歩から

 

神奈川県議会議員

 

菅原直敏