菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

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神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。

第7次産業とも呼べる山岳民族の自立的生活の向上〜ロイヤルプロジェクト インサノン

ロイヤル農業本部インサノン(The Royal Agricultural Station Inthanon)を訪れ、担当者からロイヤルプロジェクト財団とロイヤル農業本部インサノンの概要説明を受け、場内を案内して頂きました。

 

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1.ロイヤルプロジェクトとロイヤル農業本部インサノンの概要

 

ロイヤルプロジェクト財団は、1969年にプミポン前国王によって主導された王室プロジェクトの一つです。目的は山岳民族の生活の向上をすることで、麻薬栽培の撲滅と水源や森林資源の保全を図ることです。そのワークフォースは、大学機関や政府機関からのボランティアにより抜擢され、様々な地域で研究や計画を進めています。1992年に前国王により、ロイヤルプロジェクトを実施する永続的な財団に格上げされました。財団の設立資金は国王の私財です。

 

ロイヤルプロジェクトは、39,277 家族,、288 村、 168,445人の高地に住む人々を支援する規模になっており、タイ北部5県に38の開発センターを持っています。この財団の成果は国際的にも共有されるようになってきており、台湾、ラオス、ミャンマー、ブータンの山岳地方の開発に活かされています。

 

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次に、ロイヤル農業本部インサノンは、山岳民族の麻薬栽培を撲滅するために、プミポン前国王によって1979年に設立されたロイヤルプロジェクトです。同本部は、AmpherJomthongにあるDoiInthanon国立公園内にあります。チェンマイ市内から車で2時間ほど行った平均標高1,200メートルの山岳地帯にあります。

 

観賞用の花卉、葉物野菜など多岐にわたる農作物を栽培しており、チョウザメの養殖によるキャビアの製品化の研究も行われています。これらの取り組みは山岳民族の生活の糧になっています。

 

 

2.麻薬製造から野菜製造へ

 

同プロジェクトが実施されるまでは、この地域における大きな収入源の一つは麻薬栽培でした。しかし、公序良俗に反する生産物ではなく、公益にかなう農作物等を栽培し、山岳民族の生活向上を目指すという一見すると相矛盾する公益を実現するために、同地に適した作物の研究を重ねていきました。結果的に、麻薬栽培を行う者はいなくなり、山岳民族が自律的な生活を行うことができるようになりました。

 

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実際に場内を回ると、温室により葉物野菜や観賞植物が丁寧に栽培されており、その出荷工程も大変衛生的な場所で行われている様子が伺えました(写真は許可されなかったのでありませんが、日本でも問題ないような基準で行われていると思われます)。商品には全て追跡番号がタグ付けされており、無農薬野菜には「Organic」とわかりやすく明示されていました。

 

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担当者のお話の中で、バラを栽培している人の中には月に20万バーツ(約80万円)を稼ぎ出す人もいるとのことでした。これはバンコク市内のエリート銀行員の給与にも匹敵する額だそうです。

 

お土産物屋さんに入ると、生産された農作物を基にした様々な商品が並んでいます。生産から商品化までを一体的に行う流れは、日本でいう6次産業そのものです。むしろ、山岳民族の自律的生活まで構築した点を踏まえると7次産業と言えるかもしれません。

 

麻薬栽培という負のベクトルを、農作物栽培という正のベクトルに向かわせ、山岳民族の自律的な生活体系を作り出すプロジェクトは多くの示唆に富んでいます。

 

 

3.良好なユーザー体験

 

王立農業本部インサノンのもう一つ特筆する点は、素晴らしいユーザー体験です。タイ第二の都市チェンマイから2時間ほど行った山奥と言われると、私たちはとんでもない場所をイメージするかもしれません。しかし、実際について驚いたのは、豊かな自然と外部から来たものを魅了する素敵な建物や雰囲気の数々です。

 

高原の澄んだ空気に、山岳民族やタイのイメージを踏まえたおしゃれな建物、お土産物屋には思わず手に取りたくなるようなデザインの数々(クレジットカードも使える)、宿泊客用のコテージも小ぎれいで、トイレもバンコク市内にある一部のものよりも清潔です。

 

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このような見せ方の巧みさが、さらにこの地域でつくられた物産の価値を高めています。今風に言えば「インスタ映え」する雰囲気が満載です。この結果、観光目的で来る人もおり、「観光業」も大切な柱になりつつあります。

 

慈悲による山岳民族支援ではなく、彼らが自立して関わる人たちが皆Win-Winになるエコシステムを構築している同プロジェクトの理念は、日本の様々な支援事業にも活かせると考えます。

 

対応してくださった方々に感謝です。

千里の道も一歩から

 

神奈川県議会議員

 

菅原直敏