菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。

【メルマガ】議員の海外調査の是非

メールマガジン(携帯版・PC版)を発行しています。以下の文章は、メルマガ「カエル通信」からの抜粋です。

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現在、ドイツにいます。11月12日から1週間の日程で、主に環境政策と都市制度を中心として、調査に来ています。道中ではありますが、簡易な視察報告はブログを通じて行っているので、是非ご覧ください。

菅原直敏議会報告ブログ

http://sugawaranaotoshi.seesaa.net/

横浜市会のドイツ調査

先月の新聞に横浜市会のフランクフルト市への議員交流団派遣(議員18名、当時)が話題となっていました。横浜市とフランクフルト市の交流を記念し、フランクフルトの議員とサッカーの親善試合をするために、議員一人当たり最大120万円の予算がかかっているという印象を与える記事でした。

正確に言うと、フランクフルト市との交流事業はその一部で、その後各議員は4つのグループに分かれ世界各地に外遊調査を行います。これは、任期中議員1人あたり最大120万円の予算がつく「海外視察派遣の制度」のためです。

その後の訪問先は、欧州国内のみならず、アフリカ、南米、北米、アジア地域とグループの調査目的により多岐に渡ります。おおよそ11月5日から19日までの期間に実施されるそうです。

この視察について大きな批判が巻き起こっています。主な理由は以下です。

・サッカーの交流試合が必要か

・費用が高額すぎではないか

このような批判に対して、真正面から調査の必要性を反論する議員あり、だんまりを決め込む議員あり、または視察参加自体を辞退する議員あり、議員各自の対応は様々でした。

横浜市会の調査の是非と私

私の下にもこの横浜市会の調査はどう思うかというご質問がいくつか寄せられました。正直、他の自治体のことであり、その地域の住民と議員がどう考えるのかということですから、お答えのしようがないのですが、しかし一般論としては以前に過去2回のメルマガ「議会の視察の費用対効果と運用方法の改善」で述べたような基準は最低限満たすべきであると思います。

過去のメルマガ内容はこちら

http://sugawaranaotoshi.seesaa.net/article/233214615.html

さて、奇しくも同じ時期に私もドイツに調査に行くことになりました。横浜市会の交流兼海外視察の件は気にかけていなかったのですが、一緒に調査を行う横浜市会からの参加者である伊藤大貴議員がそのことに触れていて、多少の問題意識はもたねばならないと感じました。なお、伊藤議員は横浜市会の中でも相当意識の高い議員なので以下にホームページをご紹介しておきます。既に欧州調査の報告も順次上がっています。

伊藤大貴横浜市議ホームページ

http://hiro-chan.net/

●私の海外調査感

海外調査についての私の感想ですが、むしろ今の時代だからこそ、私が主張しているような基準を満たした上で、積極的にやるべきだと思います。今回仏独を訪問して感じることは、日本の議員は海外の議員等との交流が少なすぎますし、日本の中の考え方に固執するあまりに柔軟な物事の理解や判断ができない人が少なくないように感じられます。一例を申し上げれば、地方自治のあり方等は海外の事例を参考にする部分は多分にあり、実際に現地に足を運んで朝から晩までご当地の議員と議論して議会の傍聴をして欲しいと思います。

しかし、その一方で議員側は過去の議員の海外調査に対する批判も含めて自身の意識と運用方法を「相当」改める必要があると思います。前回の基準を踏まえた上で、海外調査特有の事情について私の考えを述べます。

まずは、議員自身の意識改革です。海外調査は非常に大切ですが、費用も高額になるため、生み出す成果などがかなり明確になった段階で行われるべきです。一回の視察で100万円近くかけて、少し質問に触れた程度であれば、それは高額な費用をかけて行う海外調査の成果とは呼びがたいと思います。やはり、しっかりとした政策提言に繋げていくべきであると思います。

また、調査内容がしっかりしていればビジネスクラスでもよいと主張する議員もいますが、大抵海外調査の費用の大半は高額な航空券であり、本当に必要な調査であれば住民のためにエコノミークラスに乗ってでも調査を実施し、調査の費用対効果を最大値にする努力をするべきではないであると考えます。調査費用は半分以下になります。

次に、規模の大きな議会によく見られるのですが、海外調査のために別途予算付けされている費用を見直すべきです。神奈川県議会でも「県政調査制度」というものが存在し、4年間で議員1人あたり100万円程度の予算がつきます。海外調査が今ほど気軽でなかった時代は必要であったのかもしれませんが、もはやこの制度の存在意義は失われました。むしろ、この制度があるために、目的や費用対効果の低い調査が散見される現状になっています。政務調査費で対応すれば済む話です。なお、本県の同制度による海外調査は凍結されています。

●実際の私の運用

ご存じの方もいると思いますが、特に県議会議員になってから、私は海外調査に何回か行っています。北米5回、中国2回、シンガポール1回及び欧州2回(今回含む)の合計10回です。そこで私がどのような意識や運用で海外に行っているかを簡単に触れます。

実は海外調査を実施するときに、私は相当気を遣います。やはり住民の厳しい目があることがわかるからです。特にその調査を公費(私の場合政調費)で行う場合が問題になります。私費で調査を実施する分には誰も批判はしないからです。

そこで、まだ成果物に繋がるかどうかがわからない段階においては、私は私費で調査に行くようにしています。公費で実施して過大な説明責任を果たすことにプレッシャーを感じながら行うよりも、柔軟に現地の知見を得ることができるからです。従って、過去の調査の内、2回の欧州調査以外は自費で行っています。

ただ自腹にも限界がありますので、生み出す成果がある程度見えてきた段階や同僚の議員を誘って共同で調査を行った方がよい場合などは、公費を使って海外調査をすることがあります。それが今回の調査と過去に行ったスコットランドとイギリスにおける調査です。

費用の低減にも相当気を遣います。もちろん、費用が低ければ税金の節約にもなりますし、何よりもその浮いた分を他の調査に用いることもできます。2回の欧州視察とも1週間程度の行程で40万円を切る費用になっています。行程が不規則で通訳代等の諸費用がかかることを考慮すれば、企画された欧州のパッケージ旅行とほとんど変わらない額です。ちなみに、同行程を議会局で組ませると2倍から3倍の費用になります。

さらに、海外調査にはそう簡単に行けるわけではありません。得られた知見を詳細な報告書に記すことはもちろんのこと、プレゼンの機会などを通じて他の議員とも情報を共有するようにしています。このことにより、視察の効果の部分がさらに大きくなるからです。

そして最も大切なのは、「いかなる成果に繋がったか」です。実は国内外問わず議員の視察に最もかけているのはこの視点であり、ここが曖昧だからこそ議員がいくら「視察は必要」といっても住民に相手にされないのです。

私に置き換えると、この成果という部分で最も大きいものは、昨年提出した「議会改革50の提案」です。この提案書には地方自治制度の抜本的な改正の視点が含まれており、また個々改革案にも日本の地方議会制度にない視点の提案がありますが、米国及びブリテンの調査の一つの成果です。

50の提案はこちら

http://nao.tv/_src/sc988/20100721gikaikaikaku50.pdf

●日本の政治の貧弱さ

最後になりますが、私が海外に出ることの必要性を痛感することの重要性を再認識したのは、近年の日本社会の内向き加減が大きくなってきたからです。内向きになれば、物事を相対化することができなくなり、偏屈な価値観の下誤った方向に物事が進んでいく可能性が高くなります。

政治に関しても同じです。世界という大局的な見地から日本を俯瞰できなければ、今後日本が大きく飛躍していくための戦略も描けないと感じます。

明治維新の志士たちは、英和辞典も満足にない時代に日本の将来を真剣に考え、船で何十日もかけ「海外視察」に飛び出しました。その成果が現在の日本です。

海外が気軽になり、日本人の国際化がますます重要な課題になった現代だからこそ、もっともっと海外に出て、己の視野を広げていくべきではないでしょうか?

同時に日本の素晴らしさももっともっと発信していくべきだと思います。