菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。

オープンガバナンスの時代その1〜隠せない時代の中で

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2012年は日本にとって大きな転換点となるという人が、私の周囲には増えています。スマートフォンの急激な普及やTwitterFacebookといったSNS(ソーシャル・ネットワーク・サーヴィス)の二乗的な浸透が極限にまで到達するのが本年であり、世界で起こっているような社会変革の流れが日本でも生じるという見方です。

少し天邪鬼な私ですが、この方向性には素直に賛成します。もっと言えば、今まで世界で起こっているような社会変化に日本的なテイストが加わった新しい革命的とも呼べるような社会変革又はその下地ができあがるのが2012年だと考えています。ツール以前の前提として、日本人の抱えている政治への不満だけでなく未来を想像したいという建設的な欲求が極度にまで膨れ上がっていると感じられるからです。

今回から何回かにわたり、行政・議会及び民主主義におけるオープンガバナンスとは何かということを、具体的な事例等も交えながら考察していきます。

●結果的に人身事故を隠蔽した形になった市議

12月20日に大和市議会で、年配の議員が登庁前に車で女性を車で跳ねる人身事故が発生しました。その議員は車に何かがあたったことは認識しつつも、そのまま議会に登庁しました。

その後、議員自身が何かにあたったと思い、警察に問い合わせたことにより、事故が発覚しました。この時点では救護義務を怠ったことも指摘されており、ひき逃げにあたる「可能性」もわかっていました。

但し、議員も人間ですから、事故を起こしたこと自体の是非をここで論じるつもりはまったくありません。

問題はその後の議会の対応です。当該議員の報告を受け、市議会は代表者会という各会派の代表者が集まる会議を開催し、この事故について話し合いました。関係した議員の話によると、その会議の中で一部の議員から事実を公開するべきであるという意見があったものの、結局はうやむやのまま経過を見守ることとなり、つまり実質的に事実を公表しないという決定を議会としてしたことになりました。

●初動ミス

結論から先に申し上げれば、この時の市議会の判断は大きな間違いであったと私は捉えています。事故の経過がどうであれ、議員が人身事故を起こして、救護を行わずにその場を去ってしまったという事実があり、その後に経過次第ではひき逃げに該当する可能性もあった以上、まず事実は事実として公表すべきであったと考えています。

後に事故が重大な事件と判断されれば、その間事故を公表しなかったことに対して市民の批判が集中することは確実ですし、仮にそうならなかったとしても、途中で市議会が情報を公開していない事実が漏れ、歪曲されて伝わってしまった場合にも大きな問題が生じるからです。

実際、この事故の情報は代表者会に出た一部の議員の中で共有されたものの、それ以外の議員にはその情報が正しく伝えられなかった会派もあったようであり、情報が錯綜し始めました。

程なく私のところにも情報が回ってきました。しかし、その頃には歪曲されている部分も多くなっており、かなり大事になっていました。私はすぐに仲間の市議に連絡をとり事実を質すと、彼らは事実の公開を要求したものの、一部の議員が反対のようなそぶりを見せ、全会一致の代表者会の場においては公表の決定がなされなかったとのことでした。

私も事実を知ってしまった以上、知らぬ存ぜぬでいるわけにも行かなくなり、またその後の市民に与える議会不信の印象も勘案すると、有志の議員でも構わないので、早急に結果的に事故を隠蔽した形になっている現状を打破することを数名の仲間の議員に促しました。

しかし、その対応を考える間もなく、新聞が人身事故について報道しました。事故発生後20日以上経ってのことです。残念ながら、これほど期間を経過しての事実発覚は市民に対して大きな不信感を市議会に対して持たせることになり、議会だけではなく、各議員も後手後手の対応を迫られることになりました。

市議会議員の新年会における挨拶の枕詞は、事故の謝罪からになることになりそうです。

●隠せない時代への対応

現代において、情報は隠せないものとなってきています。誰もがPCや携帯電話を持ち、瞬時に世界に向けた情報発信者になる時代において、隠すことを前提に組織運営をすること自体に無理があるのです。隠すためには莫大な費用と労力そしてリスクが生じます。

むしろ、どのような情報も必ず公になる可能性があるとの前提で物事を進め、その際の対応を含めて考えていけば、より建設的な組織運営が可能になることもあります。そして、情報を全てオープンにしてしまうと、思わぬ副作用もでてくることもあります(次回に詳述)。

特に行政や議会にかかる情報は、その組織の生成過程からも原則公開でなければなりません。むしろ、公開された情報に市民が自由にアクセスし関わることで、行政も議会もその正統性を高めていくのです。

●行政・議会における情報公開の先進事例

現在、徹底して情報公開を進めている首長がいます。

大阪府知事であり、現大阪市長である橋下徹氏です。彼は府知事時代に「オープン府庁(究極の情報公開)」の取り組みを推進し、予算編成過程の公表や施策プロセスの見える化等の成果を残し、全国市民オンブズマン連絡会議が発表した「2010年度全国情報公開度ランキング」において満点を獲得し、全国で最も情報公開が進んだ自治体に大阪府を押し上げました。

この取り組みは大阪市長になった現在も取り組まれており、大阪市の情報公開度が相当高まることが予測されます。橋下氏というと最近では政治的な話題が中心でありますが、かなり情報公開においても革命的な取り組みを行っていることが伺えます。

また、全国の地方議会でも代表者会等の非公開の会議を公にする議会も増えており、三重県議会では全ての会議が原則公開、傍聴可能となっています。私も地方議員10年目になりますが、非公開にしてやらなければならないような会議とは未だに殆ど出会っていません。代表者会のような会議が非公開であるべきと考えているのは議員の大いなる誤解に満ちた思い込みです。原則公開、非公開にするときは説明を行ってそうするという対応で十分です。

上記のような動きはまだ少数派ですが、着実に広がっています。

今まで、行政も議会も情報を隠蔽し、自分たちの都合の良いように操作することで、住民に対する妙な優越を保ってきました。しかし、そのことが逆にこれらの権威・信頼を失墜させ、組織における停滞を招いてしまうという悪循環に陥っています。

全ての情報を公開してしまうことで、住民の建設的な関わりを受け入れることがオープンガバナンスの前提条件です。意外とその方が居心地のいいことに職員も議員も気づくはずです。