菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

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神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。

オープンガバナンスの時代その3〜高齢者がITに不得手という誤謬

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 先日特別委員会の調査で訪れた「葉っぱビジネス」で有名な徳島県上勝町では、80歳を超えるおじいさん、おばあさんがタブレットPCを持って、農産物の出荷管理等を行っていました。NTTドコモの宣伝でもこの風景が放送されているそうです。

 三重県玉城町でも80歳を超えるおじいさん・おばあさんがスマートフォンを持って、写真を撮る、家族の写真を紹介する、位置情報を調べる。こんな光景が1月31日の「ガイアの夜明け」で放映されました。おばあさんは「最初は少し勉強したけれど、非常に便利です」といった感じのことを答えていました。

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 佐賀県議会では2011年より、若手からヴェテランまで議員全員がipadを保有し、議会における情報共有や省紙化の取り組みを行っています。最初はFAXや郵送による従来型の連絡伝達とipadに対する電子連絡を併用していたが、現在はほとんどが電子連絡のみにとって代わったと言います。

 議員からは便利になったという好意的な意見が寄せられると同時に、議会事務局においても迅速かつ同時に全議員に情報を送信できるので情報共有及び事務の効率化の両面において大きな成果が上がっているとのことでした。従来のFAXの時代であれば、全議員に送信するだけで1時間はかかり、受信者の紙の問題等でも無駄が生じていました。

●高齢者はITを使えないというステレオタイプ

 行政や議会でITに関わる取り組みを進めようと提案すると、決まって返ってくる答えが、「ITを使えない人たち(特に高齢者を指す)がおいて行かれる」という論調です。確かに、パソコンやスマートフォンを使っている割合は年が下る程高く、その現状だけ捉えると、ITに関する取り組みを導入することは高齢者を取り残して行くという考え方にも一理あります。

 しかし、このような指摘は本当に正しいのだろうかという疑問も生じます。なぜなら、冒頭に紹介した上勝町玉城町佐賀県議会の事例からも、実際に高齢者に分類される方の多くが利用しているからです。佐賀県議会に至っては利用率100%です。

● ATMのない今を想像できますか?

 昨年千葉市長である熊谷氏と意見交換をしたとき、彼は行政におけるITの導入について、銀行のATMを引き合いに出し、前向きな施策展開の必要性について触れていました。ATMの導入に準えて、現在のIT導入に否定的な人の考えがいかにできない理由をあげつらっているかということ事例です。

 ATMが初めて国内で導入されたのは、昭和40年代でした。その時代においてはATM最先端の技術であり、導入にあたっては、機械を触れない人、個人情報の取り扱い等様々な問題があったはずです。しかし、結果的にはATMは導入されました。ATMを導入することのメリットを考えると、みながATMを使えるような状態を作った方が建設的だからでしょう。

 ATMの導入に際して重要なことは、窓口でも取引ができるということです。従って、まずはATMを問題なく使える層が窓口取引からATM取引に移行しました。次に、銀行側としても案内員を配置して、使い方を指導することで今まで使えなかった層もATMを使えるように啓発して行きました。

 結果的に現在では世代関係なく、大半の人たちがATMを使って取引業務を行うようになりました。さらには、現在はネットバンキングが導入され、家でも銀行取引ができるようになりました。コンビニATMによって、銀行が開いていない時間にもお金の出し入れができるようになりました。

 仮に40年以上前の導入時に反対の意見に耳を貸して導入していなかったら、今頃日本社会はどうなっていだでしょうか。皆さんはATMのない生活は考えられますか?

 もちろん、ATMを使った犯罪は後を絶ちません。近年問題になっている「振り込め詐欺」もATMを舞台に繰り広げられる場合が多いです。しかし、ATMをなくせという声は聞かれません。それはATMが社会に与える利益が非常におおきいことだけではなく、ATMという道具が悪いのでなくてその運用を改善することで防止していく問題であるとわかっているからです。

SNSスマートフォンを導入するメリット

 ATMが導入されたことの最大の理由は、それが社会の発展や私達の生活の向上に不可欠な手段であったからです。ATMがあるお陰で、個人レヴェルにおいては何時間も待つことなく銀行取引を終えることができます。ATMは私達の個人的な可処分時間を増やしてくれたのです。また、国家経済レヴェルにおいては、現代の煩雑・大量かつ国際的な銀行取引を人手でこなすことは実質的に不可能です。つまり、ATM及びその背景にあるオンラインバンキングシステムは、日本の経済活動をずっと支えて来ているのです。

 では、自治体や地域社会にSNSスマートフォンを導入するメリットはなんでしょうか?それは、行政の効率化や生命財産の安全の確保です。さらには民主主義のあり方自体を変えてしまう可能性もあります。

 自治体職員・議員及び住民の多くがこのようなツールを活用できる状態になれば、行政にかかっている事務的なコストは削減されるだけではなく、多くの成果を生み出すことが可能になります。特に行政は書類業務が仕事と言っても過言ではないので、ツールの電子かによる行革効果ははかりしれないでしょう。

 また、これらのツールは人の生命も救います。昨年発生した東日本大震災の時に、Twitter等のSNSが、安否情報等の情報源として大活躍しました。電話回線等が途絶える中で、ITインフラは継続されており、個人発信でき、日本ではある程度普及していたTwitterがある程度活用されたのです。これは総務省の方でも認めており、国ではこのようなSNSを今後は活用して行く方針を打ち出しています。また、仮にその当時欧米のようにFacebookスマートフォンがもっと普及していれば、より多くの人名が救われたのではないかとも言われています。

 この他にも、SNS等が民主主義の根本的なあり方自体を変えてしまうという指摘もあります(詳細は次回以降に譲ります)。

 

●導入への障壁

 このように考えると、高齢者がITを使えないというのは大きな誤解(時には意図的な流布)による、IT施策導入に反対するための理由付けであることがよくわかります。実は、スマートフォンの利用等は、その利便性から高齢者にこそ親和性があると言われることもあります。実際、指先一つで時を拡大できること等はまさに高齢者向けです。

 SNSスマートフォン等を自治体に導入する際の大きな障壁は、決定権者の不理解です。行政でも議会でも決定権に大きく関わる者がこのようなツールを利用したこともなく、誤った固定観念を持っていることが多く、そのことが導入への妨げになることが少なくありません。

 オープンガバメントを進めて行く上で重要なことは、より多くの人がITに関わるツールを用いることが出来る環境整備とそれらを運用する能力を養成する啓発活動であると考えます。「できないからやらない」ではなくて、「できるためにはどうしたらよいか」を考えることが建設的であると思います。

 従って、首長・議員や管理職こそが、まずは固定概念を排して、それらを理解しようと努めることが必要不可欠であると考えます。トップの意識改革なくして組織は変わらないからです。