菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。

コミュニティバスのジレンマ

社会的ジレンマ」という概念があります。これは心理学用語で、社会において、個人の合理的な選択(すなわち個人的合理性)が社会としての最適な選択(すなわち社会的合理性)に一致せず乖離が生ずる場合の葛藤(ジレンマ)のことを言います。

コミュニティバスの存在意義

 大和市にはコミュニティバスが運行されています。電車やバス路線が密に走る大和市ですが、その公共交通の恩恵に受けられない地域の住民の移動手段(特に高齢者等の社会的弱者)を補完する目的で導入されました。私が市議会議員の時代の事です。

 つまり、大和市におけるコミュニティバスの存在意義は交通不便地域の解消です。

 料金もワンコインの100円ということもあって、住民の方にはおおむね好評です。但し、当然のことながら赤字事業です。なぜなら、民間のバス路線が採算をとれない場所に導入されるからです。

●広がる導入要望

 現在、大和市では多くの地域でコミュニティバスの導入要望があります。確かに、交通不便地域もあるのですが、それ以上に自分達の地域は民間バスの正規料金(100円以上)払っているが、コミュニティバスの方が安くてよいので導入して欲しいというご意見も少なくありません。当然のことながら後者の場合は民間事業者と競合することになりますし、そもそもコミュニティバスの存在意義との整合性がとれません。

 しかし、そのようなご意見にも全く理がないわけではありません。なぜなら、交通不便地域と呼ばれる地域の中にはモータリゼーション化の流れの中で住民自らがそのような状態を作った地域も少なくないからです。つまり、不採算路線が廃止されたことによって、逆に料金の安いコミュニティバスが走るといった現象も見られます。

こうなると税金の公平な負担という観点から疑問が生じるのは無理もありません。ただ、この不公平の解消のために、既存のコミュニティバス路線の採算性をあげるために料金を上げようという方向ではなく、自分達の地域にも料金の安いコミュニティバスを誘致しようという方向に向かってしまうところに、コミュニティバスのジレンマがあります。

●議員によるジレンマの拡大

 このような地域住民の要望を受け、コミュニティバスの路線拡大を求める市議会議員は後を絶ちません。地域選出の議員にとって、地域の要望を取り上げることは自分の選挙のことを考えると非常に合理的な行動です。しかし、コミュニティバス導入要望の多くは、その存在意義と適合しないから採用されないわけであり、ここを無理に導入しようものならば、市全体の利益が損なわれます。

 まさに冒頭に紹介した「社会的ジレンマ」の状態がここに見られます。

●市民による試行錯誤

 そのような中、市のおかれている状況をしっかり理解し、建設的な行動をとる市民もでてきました。例えば、地域の自治会などを巻き込んで乗り合いバスを地域で運営する手法やワンコインではなく採算をとれ市民が支払える最大限の料金設定を検討した上で導入しようとする等の動きです。

 私はこのような動きを応援したいと思います。今の日本人の多くに必要なことは「依存」ではなく「自立」精神に基づく行動であると考えるからです。

 国も地方も多くの社会的ジレンマを抱えています。議員はこのようなジレンマを助長するのではなく、社会全体の利益を考えジレンマを解消することだと考えます。